東日本大震災からもうすぐ5か月。あれから何がわかり、これからどう向き合っていけばいいのか。
また、関東でも余震が未だ頻発しているため、関東の地震も気になります。
こうした疑問・関心に答えて頂くべく、今回のゲスト宍倉さんにまずは地震の基礎となるレクチャーから入っていただきました。
地震の予測を考える上で、地震の3要素が重要になってくるそうです。それは「①いつ」、「②どこで」、「③どのように」起こるのか?ということです。
これらを考える上で、「①いつ」を推定することが最も難しく、次に「③どのように」起こるのか、規模の問題が難しいとのことです。現在の予測精度では天気予報のような地震予知は不可能なため、ある程度の時間幅を持った予測になります。「②どこで」はある程度起こる場所は決まっているため、予測は比較的精度がいいそうです。
東北地方太平洋沖地震は、2011年に起こりましたが、地質記録と古文書から869年に近い規模の地震があったことが分かっています。それが貞観地震と呼ばれる地震です。実はこの貞観地震について、宍倉さんたちの研究成果は、公表まで後わずかというタイミングでした。想定できていなかったわけではないのです。
一方、関東地震は残された地形(段丘)から200~400年程度の周期を持って発生していることが分かっています。そうすると、次の関東地震(相模トラフを震源とし、津波を伴う海溝型地震)はまだしばらく発生しないということになります。しかし、1677年に千葉沖で地震があり、大きな津波が打ち寄せたことが分かっています。この地震の周期はまだよくわかっていないため、警戒が必要です。
今回、多くの方々に参加して頂いたため、皆さんで話し合ってもらって、その意見を宍倉さんに届けようということで、グループディスカッションを行いました。6~7人で1班を作り、皆で問いの答えを考えました。
個別にも、活発に質問・意見がでました。
質問に、真剣に答える宍倉さん。テクトニクスバー終了後も、残った方々と暑く語り合っていました。
以下、印象的だった議論をいくつか書きます。
1:長い周期の地震ほど、その地震についての対策の費用対効果を検討することが難しく、例えば1000年に1度起こる地震について、1000年後の地震に有効と考えられる手段を今投じたところで、実際に有効かどうかはわからないと言えます。所詮は、今できる手段であって、将来は全く役に立たない可能性もあり得ます。人生よりも長いタイムスケールで起こる地震についての対策は本当に難しいわけです。
未来に地震の危険性を伝えるためには、対策だけでなく、教育や啓蒙活動を行って知識と知恵を伝えて行くことも大切です。
2:地層・地形に残る古地震の情報は常に不完全です。それを研究者は必至に読み解き、古地震像を復元することで確実性の高い情報に変換します。過去の地震をもれなく探してほしいという要求を感じつつ、研究者は日々研究に励み、1つでも多く事実を明らかにしようとがんばっています。
今回、研究者側の視点と、一般の視点が上手く抽出された、良い議論になりました。
次回の地球惑星科学バーは10月開催の予定です!(千葉)
0 件のコメント:
コメントを投稿