Q1. 地層を調べることで、これまで起こってきた地殻変動による地層の変形度合いや、変形が起こった時代を知ることができる?
A1. ◯
地層には、地層が形成された当時の状況の記録が保存されていると同時に、形成後から現在にかけて起こった断層運動の記録や、地層の変形の累積量が保存されています。そこで、地層を詳しく調べることにより地殻変動が活発な地域とそうでない地域を区別することができます。それゆえ、地下に構造物を建設する場合は地層の調査が必要です。
Q2. 地殻変動はプレートの運動、活断層の運動、火山活動などによって起こるが、海水の重みによっても起こることがある?
A2. ◯
プレートとプレートがぶつかり合うプレート境界である日本では、海洋プレートの沈み込みに伴い通常時は陸のプレートが(プレートの上部である地殻も)沈降し、地震時に隆起が起こるといった地殻変動があります。また、活断層が動くことにより、地殻が上下または左右にずれることがあります。さらに、火山にマグマが供給されると地殻を押し上げることがあります。こうした現象は地震や噴火に関連したものとして、広く知られています。そして、海水の量によっても地殻は変動します。例えば南極の氷河が融解して海水量が増えると、その重みで海洋地殻が沈降し、氷の重みがなくなった南極の大陸地殻は隆起することが言われています。何らかの影響で海水準が高くなり、陸の低地に海水が大量に侵入すれば、その地域も海水の重みで沈降する可能性があります。
Q3. 放射性廃棄物の処分方法は、地層処分以外にもある?
A3. ◯
他にもロケットで宇宙へ放射性廃棄物を飛ばす宇宙処分、海底下に埋める海洋底処分、南極の氷床の下に埋める氷床処分、人間の手で行う長期管理が処分方法の候補として挙げられましたが、国際条約違反や現時点での技術力の不足により、地層処分が最適とされました。
Q4. 地層処分は、永久に定期的に管理をする必要がある?
A4. ×
地層処分の利点は、一定期間の管理後は人間の手による管理が必要ではなくなるということです。将来の世代には管理責任を負わせないたくないという考えからも、地層処分は支持されています。
Q5. 地層処分にかかる期間はおよそ100年以内である?
A5. ×
放射性物質には「半減期」があり、半減期の分の時間が経つと、放射線の量は半分になります。半減期は各放射性物質によって異なり、中には数万年もの時間がかかるものもあります。そのため、地層処分はそれに相当するだけの、とても長い時間スケールで方法を検討しなくてはいけません。
Q6. 地層処分の候補地は、地下深くの地下水の影響が少ない場所が選ばれる?
A6. ◯
地下水は水の流れによって放射性物質を人間生活環境まで運ぶ可能性や処分地および放射性廃棄物の入ったケースを浸食する(削る)可能性があります。そのため、地下水の影響がなるべく少ない場所が候補地として挙げられます。国の法律では地下300 mよりも深い場所に地層処分を行うことが定められています(参考:地下鉄などの地下利用はどんなに深くても地下50 mよりも浅い)。また、地下水の動きを詳細に調べることは難しいため、地下の割れ目の分布を調べたり、地下水の化学成分を分析したりして、どこから流れてきたのかを調べることで、地下水の流れを推定します。
Q7. 大地震の発生間隔は数十年以上と長く滅多に起こらないため、地層処分の際には考慮する必要はない?
A7. ×
地層処分は数万年にわたって行われる可能性があります。地層処分の候補地は、将来大地震によって地下に割れ目が生じないかどうか、大規模な地形変化が起こらないかどうか、などを考える必要があります。
Q8. 地下の調査は現在では衛星による観測が主流である?
A8. ×
候補地の選定には地下構造を調べたり、地下水の動きを調べたりする必要がありますが、それは現地調査や現地で採取してきた地下水試料や岩石試料の分析を行うことで明らかになります。多くの分野の専門家が力を合わせて候補地での調査を行います。
Q9. 地質調査によって過去の様々な変動が解明されても、将来の予測は難しい?
A9. ◯
過去の地殻変動の歴史が明らかになっても、将来も同じ現象がまったく同じ発生間隔で起こるとは限りません。しかし、地殻変動にはある一定のパターンがある可能性があり、過去の記録から将来の地殻変動をなるべく精度良く予測すべく、多くの地球科学者が研究を行っています。
Q10. 地層処分に最適な地層中に、放射性廃棄物を置ければ、それだけで安全であると言える?
A10. ×
地層処分は、周囲の地層の安定性だけでなく、放射性廃棄物を包むケースの安全性も確保されないと、地層処分開始時の全体的な安全性は確保されません。
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